AI生成画像はコンバージョンを下げる?「AIっぽさ」とWebサイトの信頼性を考える
AI生成画像は広告やWebサイトのコンバージョンにどう影響するのか。AIっぽさ、実在性、表示の透明性に関する研究をもとに使い分けを考えます。

Webサイトや広告で、AI生成画像を見る機会がかなり増えました。
以前ならストックフォトを探したり、イラストを制作したりしていた場面でも、生成AIを使えば短時間で画像を作れます。
弊社でもコラムのメインビジュアルなどにAI生成画像を利用しています。
では、商品やサービスを販売するWebサイトでも、AI生成画像を積極的に使ってよいのでしょうか。
「AI生成画像はコンバージョン率を下げる」
という話を見かけることもあります。
実際の研究を調べてみると、どうやらそれほど単純な話ではなさそうです。
AI画像だから悪い、とは限らない
興味深い研究があります。
Columbia Business Schoolの研究チームは、ディスプレイ広告について、7,000を超える広告主、約50の商品カテゴリー、160億回以上の広告表示と1.16億クリックという大規模なデータを分析しています。
その結果、AI生成画像を使用した広告は、人間が制作した画像の広告より高いクリック率を示しました。
ただし、重要な条件がありました。
「AI生成画像がAIっぽく見えないこと」です。
AIによって作られた画像でも、人間が制作したように見えるものでは広告効果が高かった一方、「これはAIで作った画像っぽい」と感じられる視覚的特徴がある場合、そのメリットが失われていました。
つまり、
AIで作ったかどうか
だけではなく、
AIっぽく見えるかどうか
が重要なのかもしれません。
「AIっぽい画像」って何だろう?
少し前まで、AI画像といえば、
- 指がおかしい
- 文字が崩れている
- 人物の表情が不自然
- 背景がおかしい
といった分かりやすい特徴がありました。
現在は生成技術が向上し、そうした破綻はかなり減っています。
それでも、「なんかAIっぽい」と感じる画像があります。
先ほどの研究では、色の彩度などの視覚的特徴もAI生成だと認識される手掛かりになっていました。
ただし、ここで、
彩度を下げればAI画像だとバレない
という話にするのは少し違うでしょう。
問題は、AI利用を隠すことではありません。
ユーザーが画像を見たときに、
- これは実際の商品なのか?
- この場所は本当に存在するのか?
- この人は本当にこの会社のスタッフなのか?
と疑問を持つ場面で、画像がどんな役割を果たしているかです。
「本物であること」が重要なサービスでは話が変わる
AI画像については、反対方向の結果を示す研究もあります。
International Journal of Information Managementに掲載された研究では、ホスピタリティなどのサービスについて、AI生成画像より実際の画像を使った広告の方が消費者から好まれる傾向が確認されています。
特に、楽しさや体験そのものが重要なサービスや、購入判断の重要度が高いサービスでは、その傾向が強くなりました。
研究では、AI生成画像に対する「本当なのか?」という不信が、そのサービスを避ける要因の一つになっているとしています。
これはWebサイトを作る側にとって、かなり重要な話だと思います。
ホテルの部屋をAIで作ったら困る
例えばホテルを探しているとします。
ユーザーが知りたいのは、
- 実際の部屋はどんな感じなのか
- お風呂はどうなっているのか
- 窓から何が見えるのか
といった情報です。
そこで掲載されている客室写真がAIで生成された「イメージ画像」だったらどうでしょう。
きれいかどうか以前に、
実際の部屋はどうなっているの?
という問題が発生します。
飲食店も同じです。
料理写真を見て注文したのに、その料理自体がAIで生成された架空の料理だったら、ユーザーが期待したものと実際の商品が違ってしまいます。
不動産なら、さらに分かりやすいでしょう。
物件写真に求められるのは「素敵な部屋のイメージ」ではなく、「この物件が実際にどうなっているのか」という情報です。
こうした場面では、実写そのものが情報になります。
人物写真も慎重に考えたい
企業サイトでは、
- スタッフが会議している写真
- 笑顔で働いている社員
- お客様と話している担当者
といった画像がよく使われます。
これをAIで生成することもできます。
しかし、
私たちはこんな会社です。
という文脈で、存在しない社員の画像を掲載するとどうでしょう。
少なくとも「会社の実態を伝える写真」としては問題があります。
もちろん、単なるイメージビジュアルとしてAI人物を利用するケースまで否定する必要はありません。
重要なのは、その画像をユーザーが「実際のもの」だと受け取る可能性があるかです。
社員紹介、店舗紹介、施工事例、制作実績、商品写真など、「実在すること」そのものが情報になる場所では、実際の写真を優先した方がよいでしょう。
では、AI画像はどこで使えばいい?
逆に、AI生成画像が使いやすい場所もあります。
例えば、
- コラムのキャッチ画像
- 抽象的な概念を説明するイラスト
- 装飾的な背景
- 実在しないシチュエーションのイメージ
- 図解
- アイデアを視覚化するための画像
などです。
例えば、「AI検索とは?」という記事のキャッチ画像に、AI検索をイメージした架空のビジュアルを使用しても、通常はその画像を実在する製品写真だとは受け取りません。
一方、「当社が施工した住宅です」というページにAI生成した住宅を掲載したら意味が変わります。
つまり、
AI画像を使っていいか?
ではなく、
この画像には何を証明する役割があるのか?
で判断した方がよさそうです。
AI画像であることは表示した方がいい?
これも研究結果は単純ではありません。
2026年の研究では、AI生成広告に第三者認証などの信頼シグナルを追加すると、消費者の信頼が高まり、購入意向もわずかに改善しました。
一方、QRコードによる透明性の提供は信頼を高めたものの、購入意向については有意な向上が確認されませんでした。
別の2026年の研究では、AI生成広告であることを明示する透明性が、信頼や広告の信用性を高めるという結果も報告されています。
ところが別の研究では、AI生成であるという表示によって、実用品の商品画像では「本物らしさ」や美的評価などが低下する経路も確認されています。一方で、AI表示自体が購入意向へ直接与えた効果はプラスでした。
つまり、
AIと書けば安心
AIと書くと売れなくなる
のどちらか一方ではありません。
商品、サービス、画像の役割、ユーザーがAIをどう捉えているかなどによって結果が変わると考えた方がよさそうです。
AI画像より「嘘っぽい画像」が問題なのでは?
ここまでの研究を見ると、個人的にはこの考え方がしっくりきます。
問題は、
AI生成画像だからダメ
というより、
ユーザーが確認したい現実を、存在しない画像で置き換えていないか
ではないでしょうか。
例えば商品ページなら、実際の商品写真を掲載する。
ホテルなら、実際の客室写真を掲載する。
会社紹介なら、実際のオフィスやスタッフを見せる。
制作実績なら、実際に制作したものを掲載する。
一方で、記事の内容をイメージさせるキャッチ画像ならAIで生成する。
このように役割を分ければ、AI画像はかなり便利な制作手段です。
AI生成画像を使うときのチェックリスト
| 確認項目 | チェック |
|---|---|
| 実物だと誤解される画像になっていない | □ |
| 商品そのものを架空の画像で置き換えていない | □ |
| 店舗・施設・物件など実在性が重要な場所では実写を使っている | □ |
| 実在しない人物を社員のように見せていない | □ |
| 不自然な「AIっぽさ」が残っていない | □ |
| 画像がページの内容と合っている | □ |
| 装飾なのか情報なのか役割が明確になっている | □ |
| 必要に応じてAI生成であることを明示している | □ |
AI生成画像はコンバージョンを下げるのか?
結局、
AI生成画像を使うとコンバージョン率が下がる。
と一括りにすることはできません。
大規模な広告データでは、「AIっぽく見えない」AI生成画像が人間制作画像より高いクリック率を示した研究があります。
一方、実際の体験や信頼性が重要になるサービスでは、AI生成画像より実写の方が好まれるという研究もあります。
つまり、
「AIか、人間か」
だけで判断するより、
「この画像をユーザーは何のために見ているのか」
を考える必要があります。
- 商品の実物を確認したい
- ホテルの部屋を確認したい
- どんな会社なのか知りたい
- 実際の施工例を見たい
そういう場面なら、実物を見せること自体に価値があります。
一方、概念を説明したり、記事のテーマを視覚的に表現したりするなら、AI生成画像も有効な選択肢になります。
ちなみに、この記事の画像は
ここまでAI生成画像について散々書いてきました。
ちなみに、この記事のメインビジュアルもAIで生成しています。
前回は「コンバージョンを邪魔するWebサイト」という記事を書きながら、3Dやアニメーションを使っている弊社サイトに自分で刺さりました。
今回はAI生成画像について書きながら、AI生成画像を使います。
おべんちゃーのコラムは、だんだん自分に厳しくなってきました。
まとめ
AI生成画像は、低コストで素早くビジュアルを制作できる便利な手段です。
そして現在の研究を見る限り、「AIで作った画像だから広告効果が悪い」と単純に結論付けることもできません。
一方で、AIっぽく見えることや、画像に求められる信頼性・実在性によって、ユーザーの評価が変わる可能性があります。
だからこそ、
AI画像を使うか、使わないか
ではなく、
この画像はユーザーに何を伝えるためのものなのか?
を考える。
商品やサービスの実態を伝えるなら本物を見せる。
概念やイメージを伝えるならAIも使う。
WebサイトでAI画像を利用するときは、このくらいの使い分けがちょうどよいのではないでしょうか。
参考情報
- AI in disguise - How AI-generated ads' visual cues shape consumer perception and performance(Columbia Business School)
- Customer reactions to generative AI vs. real images in high-involvement and hedonic services
- Consumer trust and purchase intentions in AI-generated advertising: The role of verification signals
- Transparency Disclosure Mechanisms for AI-Generated Advertising on Online Platforms
- Beyond the label itself: how disclosed content shapes consumer responses to AI-generated product imagery in E-commerce
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